長期使用車両の点検・整備

クルマの部品は、気付かないうちに摩耗・劣化します。そうした状態で使用し続けると、重度の故障による多額の出費や、リスクを背負うことに……。長年の“付き合い”のある愛車こそ、さまざまなリスクや危険を回避するためにも、自動車本来の性能を維持する点検・整備が重要です。ここでは、誰でも簡単に長期使用車両の構成部品の摩耗や劣化が把握できる点検・整備をご紹介します。

長期間の使用によって、摩耗や劣化が起こりやすい箇所(一例)

  • 【1】 プロペラシャフトのジョイント部とベアリング

    ●不具合箇所
    プロペラシャフトのジョイント部とベアリングのがた
    ●不具合事例
    プロペラシャフト自体の回転が正常でなかったり、バランスが悪かったりすると、速度の上昇とともに振れが大きくなり振動が発生。スピードを上げるにつれ、ミッションなどのマウント部を介して、室内にこもったような異音や、振動がどこからともなくボディーに伝わってくる。
    ●どのような整備が必要か
    プロペラシャフトバランス修正、プロペラシャフト交換、ユニバーサルジョイントがた整備、ベアリングの交換など。
  • 【2】 ドライブシャフトのジョイント部とベアリング

    ●不具合箇所
    ドライブシャフトのジョイント部とベアリングのがた
    ●不具合事例
    ハンドルを急に切ったときや、車庫入れの際、ハンドルをめいっぱい切ったとき、タイヤあたりから、「カタカタ」「ガッガッガッ」という、何か当たっているような異音がする。
    ドライブシャフトのジョイント部分のドライブシャフトブーツが老朽化・硬化などによって破損。砂埃がジョイント内部に噛み込んだり、水しぶきによって内在するグリースを流してしまい、サビを発生させたりすることで、ジョイントの動きに不具合が生じ、ハンドルを切ると異音が発生する。
    ●どのような整備が必要か
    ドライブシャフトのジョイント部、ベアリングの点検・整備。ブーツ破損の際は、交換及びグリスアップ、ベアリングの交換など。
  • 【3】 ブレーキホース

    ●不具合箇所
    ブレーキホースの破損
    ●不具合事例
    ブレーキホースが破損し、ブレーキオイルが漏れることで、ブレーキの効きが悪い、ブレーキが効かない。
    ●どのような整備が必要か
    ブレーキホースの交換、ブレーキフルードの交換など。
  • 【4】ブレーキマスタシリンダー・ホイールシリンダーのゴム部品

    ●不具合箇所
    ブレーキマスタシリンダー(※)、ホイールシリンダーのゴム部品
    ●不具合事例
    ブレーキマスタシリンダー内部やホイールシリンダーのゴム製部品の破損や損傷などによりブレーキが効かない。
    ●どのような整備が必要か
    ブレーキマスタシリンダーの点検・整備・交換、ホイールシリンダー、ディスクキャリパーに付属しているゴム製部品の交換など。

    ※ブレーキマスタシリンダーとはブレーキペダルを踏み込んだ際にブレーキオイル(ブレーキフルード)に油圧をかけるための装置です。

  • 【5】ロングライフクーラント(LLC、冷却水)

    ●不具合箇所
    ロングライフクーラント(LLC、冷却水)
    ●不具合事例
    オーバーヒート、最悪な事例としては、エンジンの焼き付きによる破損・不動。冷却水の減少や凍結などによるエンジンやラジエータ、冷却水配管の故障・破損など。
    ●どのような整備が必要か
    エンジンオイル交換と同様、LLCの交換は重要なメンテナンス。リザーバタンク内の汚れが目立つようになってきたたり、2~3年以上冷却水を交換していない場合など、適正量・適正濃度の冷却水になっているか点検・整備。
  • 【6】タイミングベルト

    ●不具合箇所
    タイミングベルト
    ●不具合事例
    タイミングベルトの緩みによる異音。劣化したタイミングベルトが切れてしまい、不動となる。最悪の場合、ピストンがバルブを突き上げて、エンジン内部が損傷することもある。
    ●どのような整備が必要か
    タイミングベルトの点検、交換。ベルト以外の部分のメンテナンスを怠るとベルトにかかる張力が大きくなるため、結果的にベルトの劣化が早まる原因となる。タイミングベルトを長持ちさせるためには、エンジンオイル、ロングライフクーラントなどを適時交換しておくことも重要。

コラム:車検と定期点検

愛車をいたわる定期点検

「車検」とは、一般的に自動車検査証の有効期限が満了した後も引き続き、その自動車を使用するときに受ける検査(継続検査)のことで、次の車検までの安全性を保障するものではありません。

一方「定期点検」は、劣化や摩耗するクルマの部品をチェックして、故障が発生する前に整備する「予防整備」のこと。定期点検は法令で定められており、ユーザーの義務です。自家用乗用車の定期点検には、車検と車検との間に行う「法定1年点検」と、車検と同時期に行う「法定2年点検」があります。定期点検の実施の有無や次回の定期点検の実施時期は、車両前面ガラスのステッカーで確認できます。

もちろん、走行距離、運行時の状態から判断した適切な時期に目視などによりブレーキ液の量・エンジンオイルの量をはじめとする「日常点検」も忘れずに!

ハンドブック表紙

[参考] My Car Hand Book  ~ 知って納得!クルマの点検・整備 ~
   (一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会ホームページ)