「フリフリ人生相談」とは

なにをやってもダメダメな山田一郎をピシリと鍛え直そうとはじめた企画。

ですが、いつの間にやら、山田一郎の周囲にはトンデモ人間ばかりなことが判明。

酔っぱらい上司の黒田万丈、みょうに妖艶・川久保恵子、そして宇宙人と交信できるというまるでペテン師・角田天空

なんと彼らが力を合わせて、困っているひとを助けよう、なんて言い出したものだから、さぁ大変!

これまでのフリフリ


第145話「フリフリだけはガチ」 第144話「Who are you?」 第143話「純一さん」 第142話「由佳理と恵子と謎の電話」 第141話「行ってきます!」 第140話「フリフリの功罪」 第139話「アクセルとブレーキの間」 第138話「尾崎紀世彦を若くした感じ」 第137話「ゲッバッ、ユカリ!」 第136話「あ、山田がッ!」 第135話「ヌケガケ!?許すまじ」 第134話「大学生と会うの巻」 第133話「自分探し探し」 第132話「夫婦なんてものはだね」 第131話「トツキトオカの菩薩への道」 第130話「アンジェリーナ・ジョリーに、なりたい?」 第129話「デ・ニーロは活かしたい」 第128話「子ども、なんですよ」 第127話「さすが、オトナ。」 第126話「ヒロインは私よ!」 第125話「私が愛した山田一郎」 第124話「天然オヤジキラー由佳理」 第123話「ロマンスの匂いを嗅ぎたくて」 第122話「由佳理ふたたび」 第121話「UFO? そんなもん、嘘に決まってるよ」 第120話「瞳さんと夏川センセー」 第119話「話の続き、そして、その後」 第118話「なぬ? 黒木瞳?」 第117話「“名犬”山田号 出動せよ」 第116話「黒幕はあいつだ!」 第115話「現れた脅威!天空包囲網」 第114話「ありえなくなくなくない疑惑!?」 第113話「クリスマス・釣りー」 第112話「クリスマス・イブ」 第111話「スイート・トークはテレビ電話で」 第110話「オール、オア、ナッシング」 第109話「炉端焼き de 慰問会」 第108話「隠し事、そして書く仕事」 第107話「松尾さん、今日は飲むねぇ」 第106話「ティオぺぺは裏切りの香り」 第105話「どうして、教えてくれなかったの?」 第104話「恵子の飛び入り人生相談」 第103話「パートナー」ってなによ? 第102話「お悩み相談、フリフラれ 〜ツイッターはじめました」 第101話「外国人に体当たりする婚カツ」 第100話「祝・連載100回!〜水飲め、水」 第99話「ケッコンセイカツ2.0」 第98話「ふたりの中年と4つの椅子」 第97話「蜜が甘くて濃いほど、女は怯えるもんさ」 第96話「オトコ一匹 無限の可能性」 第95話「新章 あるIT社長の憂鬱」 第94話「さらば、高揚の日々」 第93話「セミナー・ハッキング作戦」 第92話「復讐へのプレリュード」 第91話「明日から、おれ、走る」 第90話「フリフリ不倫妻の告白」 第89話「五反田、パニック!」 第88話「幸せの黄色い風船」 第87話「安楽椅子探偵」 第86話「もっといかがわしいかもね」 第85話「久しぶりだねえ、東くぅん」 第84話「山田一郎 フルボッコされる!!」 第83話「イン・ザ・マママンション」 第82話「天空の別れさせ屋」 第81話「その男、ダメ。ゼッタイ。」 第80話「哀愁のレッド」 第79話「サギカモ?」 第78話「被害者救済百万円?」 第77話「振り込めロンロン」

ここから旧デザインになります。
(別ウインドウで開きます)

第76話「トゥービー・オア・ノットトゥービー」 第75話「考えてくれよ、な、先生」 第74話「恍惚への握り拳」 第73話「APDの乳揉み男」 第72話「みんな結婚を望んでる」 第71話「相手の心をサカナデさせたらニッポンイチ」 第70話「同じ穴のムジナ」 第69話「話はかんたんなんだよ」 第68話「三流小説と青春ドラマ」 第67話「大宮の夜」 第66話「宇宙の心理を研究しておるのです」 第65話「今日のメインイベント」 第64話「必殺仕掛人」 第63話「ビジネスライクで」 第62話「悩みの海へ」 第61話「角田天空の狙い」 第60話「秘密の匂い」 第59話「あんたら…何者?」 第58話「ぼくは関係ないと思うんだよねえ」 第57話「怒りを餌に生きている」 第56話「ペテン師“的”やり口」 第55話「イッツァ ショータイム!」 第54話「ミッション インポ ッシブル」 第53話「詐欺師の片棒」 第52話「全裸のバンジョー」 第51話「眉のさがった“癒し顔”」 第50話「フリフリ人生相談、ちゃんと読めよ」 第49話「女の道は百本道!?」 第48話「受け取ったんでしょ、天空さん」 第47話「善意の第三者および野次馬」 第46話「エリカ様」 第45話「霞む白無垢」 第44話「オトコの哀愁」 第43話「やなこった」 第42話「コスモスウェディング?」 第41話「日曜日の午後三時」 第40話「天空プロジェクト始動!」 第39話「複雑怪奇なる新情勢」 第38話「すっぴんメガネって、好きですか?」 第37話「大人は夢を語るべし」 第36話「ドラえもんなんて要らない」 第35話「夢って、なに?」 第34話「宇宙と世間の架け橋に」 第33話「生つば、ごっくん」 第32話「インギン・オブ・ジョイトイ」 第31話「久しぶりの山田節!」 第30話「尼寺へ行け、尼寺へ」 第29話「ヤマダイチロウッテシッテル?」 第28話「ケケケの恵子、現る!」 第27話「酔っぱらいのカツサンド」 第26話「へんだとは思いませんか。松尾さんは」 第25話「山田一郎に辞めて欲しいんだよね」 第24話「両刀バンジョーの“ストレート”」 第23話「バンジョーの弱み!?」 第22話「山田桜は狂い咲き」 第21話「ホワイトカラーエグゼンプションとは、山田対策である。」 第20話「大阪の熱い夜」 第19話「山田の貞操」 第18話「ボルサリーノの中年男と白ウェデングの女」 第17話「恋?濃い?♂三角関係」 第16話「秘密の花園」 第15話「松尾さん、ご存知なんですね」 第14話「バンジョー」 第13話「浦和の花嫁」 第12話「“角田天空一座”でござい!」 第11話「銀河系一邪悪な女」 第10話「白髪混じりのイガグリ頭で関西出身の中年男って…俺かい!」 第9話「浦和のUFOおじさん」 第8話「いざ!魔性の女との対決」 第7話「本邦初?異星人に嫉妬する男、あらわる」 第6話「いよいよ、漢(オトコ)の対決!?」 第5話「フリン?DV?忍び寄る闇。」 第4話「山田のお手製肉ジャガとWフリフリの罠?」 第3話「松尾さんはできるんですか、英会話。」 第2話「オトナのおもてなし方とは?」 第1話プロローグ「凍てつく新年会」/「だってケツカッチンなんですけど?」


話としては前回の続きなので、高橋純一とホテルのカフェで話している場面です。が、前回のフリフリを読んであちこちから反響がありました。

「ほんとにミスターオクレだったんですか」

 と言ったのは、フリフリ担当です。

「そうなんだよ。あんな感じなんだ」

「いやぁ、ミスターオクレ、すごいなぁ。頼りない男と言えばミスターオクレ、もうアイコンと化してますね
 なんて、本物のミスターオクレに感心してるわけです。そっち? 高橋純一がどういう話をするのかとか、フリフリの展開は気にならないわけ?

「だから、そこは次回に期待してますよ」

 実に担当者らしい冷たい口調です。

「えええ、まじぃ?」

 みたいな電話を入れてきたのは恵子です。

「高橋英樹を待ってたらミスターオクレが現れたってとこ、笑っちゃった」

 なんて感想を口にしてから、けどさ、と続けたのです。

「由佳理からいろいろ話を聞いてるけど、ミスターオクレっていうのは想像できなかったわよ。どういうこと?」

 なんて怒ったように言うのです。

「どういうことって……そういうことだよ。ほんとにおれもわけわからないんだから」

「松尾さん、だまされたんじゃないの? 本物の高橋純一はロビーの影から松尾さんを観察してた、とかさ」
 私自身、そういう可能性を考えなかったわけじゃありません。艶のないミスターオクレの顔を見つめながら、本物の高橋純一がどこかで私を見ているのではないか、と、一瞬思ったのです。

 けど、そんなことして、どうするの?

「おれを観察する理由なんてある?」

 恵子にそう聞き返すと、

「そんなことわかんないわよ。やり手の実業家なんでしょ、向こうにもいろいろと作戦があるんじゃないの?」

「そうかな」

「だって、ミスターオクレじゃ、もてないじゃん。由佳理いわく、ほんとにあちこちに女がいるらしいのよ。それによ……そもそも、由佳理が山田と離婚してまで結婚したのが、オクレじゃ、やばくない?」

「…………」

 ですです。やばいのです。まずいのです。話に整合性ってものがなくなるわけです。

 なんて考えつつ、でもまぁ、由佳理だからなぁという気もしていました。
 実際に、高橋純一とテーブルをはさんで話しながら、この一連の騒動の原因はすべて由佳理にあるということを思い出していたのです。
 大学卒業直後に、あの山田一郎と結婚し、父親の言うなりになって離婚して、父親のすすめる政略結婚プランに従い結婚した男が高橋純一。なのに「一郎さんから愛された充実感が忘れられないのぉ」とか口走ってしまう、あの由佳理です。男を見る目って価値基準があるとすれば、由佳理のそれを信じていいのかって話ですよ、そもそも。

「あいつは、そんなに私と離婚したがってるんですか」

 わりと深刻な表情になって、高橋純一は私に向かって上半身を突き出してきました。

「うーん……私が直接本人から聞いたわけじゃないですけど、どうやらそうみたいですね」

「あの、恵子さんって女のひとが言ってたんですか」

「は?」

「だから、フリフリに登場する恵子さんが、由佳理と会って話したわけですよね」

「みたいですね」

「うーむ」

 と、高橋純一は腕組みしてそのままうしろにもたれかけました。が、ホテルのソファはびっくりするくらい大きくて背もたれまでの距離があったのか、彼はうしろ向きにひっくり返ったのです。

 一流ホテルのカフェで両脚をばたばたさせている貧相な男を見るのは、わりと悲しいものです。私は急速に心が縮んでいくのを感じながら、高橋純一という男は実は被害者ではないのかと思いはじめていました。

「すみませんすみません」

 ぜえぜえとあえぎながら上半身を起こした高橋純一は、そうやって何度も頭をさげます。

「で、高橋さん……」

 私はちょいとばかり悲しそうな顔をしていたと思います。言いにくいこともずばずばと訊いて、なにかを探り出すというのが、私に与えられたミッションだと心でつぶやいていました。

「実際のところ、どうなんですか。由佳理さんが恵子に話したことは置いといて、高橋さんの感触として、由佳理さんとはどんな具合なんですか。うまくいってるって、思ってるんですか」

「…………」
 自分以外の人間が、妻が離婚したがっているという話を聞いてるわけです。名前を変えてあるとはいえ、ウェブとはいえ、フリフリ人生相談なんて連載ページにそのことが書かれちゃってるわけです。それを読んでる高橋純一本人。かわいそうっていえば、こんなにみじめな話もないかもしれません。

私は……ごらんのとおりの男ですよ。そんなにもてるわけはないんだ。ね。おわかりになるでしょう? だから由佳理は、私には過ぎた女だと思いますよ。あいつの父親に娘と結婚してくれって言われたときは、からかわれているとしか思えませんでしたから、ええ」

「どういう感じなんですか、夫婦生活は?」

「は?」

「由佳理さんと……」

「いやぁ」

 いきなり高橋純一は頭をかきました。

「そういう話も、せにゃあ、いけまんせんかね」

 頬のあたりが赤らんでいます。

「違いますよ」

 質問した私のほうが慌ててしまいました。

「夜の話じゃなくて……仲はいいのかどうか、ですよ。料理をつくってくれるのか、とか、そもそも会話ははずんでるのかとか……まぁなんだったら夜の話もしてもらっていいですけど」

 最終的には若い由佳理を思い浮かべて興味が湧いてる私もどうかと思いますが、まぁそういうことも含めての夫婦生活です。離婚を口にするということは、関係は破綻しているのがふつうです。

「仲は、いいと思うんですよ」

 あっさりと高橋純一は言うのです。

「朝もね、出かけるときに、ほっぺにチュッとか、してくれますし」

「…………」

 私は、くらくらしていました。

 ほっぺにチュッ、ですよ。


 これはやっぱり、ふつうじゃないです。


 ほっぺにチュッもふつうだとは思えませんが、それがほんとだとすれば、「離婚したい」だの「一郎さんから愛されたい」だの言ってる由佳理がふつうじゃないということです。


 フリフリにずっと書いているとおり、由佳理が山田一郎を恋しがり、高橋純一と別れたがってるのは事実です。それを高橋純一もフリフリで読んで知っている。そのうえで、こうやって私に会おうとする。

 いまさら由佳理の意思を確認しようと思っているわけじゃないはずです。

 私を通して、なにか言いわけでもするつもりだったのでしょうか。


 それとも、高橋純一は私からなにかを聞き出そうとしているのでしょうか。


「心当たりはないんですか」

 そう言ったとたん、自分の声がえらくとげとげしいのに気づいていました。目の前の気弱そうな男から由佳理との夜の生活だのほっぺにチュッだのという話を聞き、ちょいと気持ちが昂ぶったのかもしれません。

「心当たり?」

「そうですよ。離婚したいなんて話が出てるわけですよ。仲がいいなら、ふつう、そういう話にならないでしょう? それともなんですか、高橋さんにはほかにもいっぱい女がいて、その証拠を由佳理が握ってるって話、ほんとなんですか」

「…………」


 このときの高橋純一の視線の動きに、ちょいとばかり私は引っかかりました。私の鼻のあたりとテーブルのコーヒーカップとホテルの天井、この三点を行ったりきたりしたのです。

 つまり。

 なにか秘密めいたものがあるってことです。
 由佳理がつかんでいるネタっていうのを、高橋純一は探りたいのかもしれません。
 相手がどこまで知っているか。
 まさに、腹の探り合いってやつです。

「ほんとなんだ」

 と、私は確信したように言いました。

「なにがですか」

「そんなふうに気弱そうな顔してるけど、高橋さん、やっぱりやり手なんだ」

「なにがですか」

「あっちこっちに、女、いますね」

「やめてくださいよ」

「わかりました」


 私は少し大きな声を出しつつ、実はかなり冷静になっていました。というより、どこか馬鹿馬鹿しくなっていたのかもしれません。
 山田一郎。由佳理。高橋純一。こんな連中にいつまでも振りまわされてる場合ではないのです。

「直接対決だな」

 きっぱり言って、私は席を立ちました。

「それしかない。今度は、山田一郎と由佳理と高橋さん、直接対決ですよ。それしかない、ね」

「いやいやいや」

 私の腰にすがるように高橋純一は腕を伸ばしてきます。
 それをすらりとかわして、私は背中を向けました。

「時間と場所を決めて、連絡しますよ」

 なんて、捨て台詞のようなひとことをテーブルに放り投げます。

 そう、直接対決です。

 三人で会えばいいのです。

 ガチです。

 最初からそうすればよかった、と、かすかに後悔しながら、私はレジを横目にホテルのロビーに踏み出しました。

 高橋純一が追ってくる気配はありません。

 想像以上にあの男はしたたかもしれないという気もしましたが、それならそれで、山田一郎が受けて立つということです。

 恵子のゲッバッユカリ大作戦の立案理由が、山田一郎の元気を取り戻すためだとすれば、直接やればいいのです。口論にしろ殴り合いにしろ、それがいちばん元気の素になるのではないのかと、私はつくづく思っていました。

 それで、いろんなことが表に出るわけです。

 由佳理の思惑も、高橋純一の秘密も、そして、山田一郎の本気も。

 あとは山田一郎がんばれってことだなと思いながら、私は振り返ることもせず、ゆっくりとロビーを出ていきました。




……さて賢明な読者のみなさん、どう思います?
人生いろいろ、とは言え、悩み多き人生からは脱出したいもの。
なにがどうしてどうなっているのか、
あれこれ読みにくい世の中だけど、
どうかひとつ、アドバイスをくださいな。

一応、私なりに考えて選択肢を用意しました。
このなかから選んで、回答をお寄せください。

Q.

(A)おお、いいぞ! もう裏でグダグタやっても事態は変わりそうにないし、直接対決させちゃったらいいのだ。ここは悪徳プロモーター松尾の手腕を存分に発揮して、エキサイトな夜を演出してくれ!
(B)まあ、よくよく考えたら「犬も喰わない」といわれる類のお話かもしれませんが、しかし、ここまでもつれるともはや当事者が直接感情をぶつけ合うことは危険かも。直接対決のセッティングには何らかの保険をかけるべき。
(C)本当にガチでいいの? 何にも知らない山田一郎が一人負け、なんて悲しい結末になったりしないだろうか? 松尾はフリフリの主人公たる山田に多少肩入れして、作戦会議くらいしたほうがいい。