第4回 整備士が語る、点検・整備の重要性

前回では、整備士とお客さまとのコミュニケーションがクルマの安全性にどれほど大切か、ということについて話していただきました。今回は、日頃から実施している点検・整備が、安全走行のためにいかに重要か、具体的な事例を交えながら、点検・整備の総まとめとして話していただきました。

●あわや、事故寸前

あわや、事故寸前

点検のためにお客さまからクルマをお預かりした時のこと。手続きを済ませ、クルマを工場に入れようとしたときにコトンと小さな音がしたそうです。「そのときは何の音?くらいで緊迫感はゼロでしたね。次の瞬間、ブレーキがかからない!焦る!サイドブレーキを引く!が同時で一瞬の出来事でした。幸い工場内でスピードも出ていなかったので止められましたが…。」有我さんは、クルマを降りてフロントブレーキパッドが床に落ちているのを見たときに、初めて事の重大さに気づき鳥肌が立ったとおっしゃいます。「外だったら大変な事故になるところでした。日頃からの点検・整備がどんなに重要か、お客さまに十分にお伝えしてきたつもりでしたが、もっともっと気をつけなければいけないと思い知らされました。」
これまでもお二人は、頼まれた部分以外でも関連する箇所はすべて点検を行い、不具合があればお客さまに確認のうえすぐに整備を行っていましたが、この出来事以来、有我さんはさらに念入りなチェックを心がけているそうです。

●点検・整備はお客さまの命に直結する

「点検・整備の重要性をきちんと認識していただくためには、お客さまにご自身の意識を高めていただくしかないのですが、日々の経験のなかから、私たちからもお客さまにキチンとお伝えしていく努力が必要だと思っています。」と話す花岡さんは次の3点を重要なポイントとしてあげてくださいました。
「1年点検、2年点検の定期点検を必ず受けること。何かおかしいな、と思ったら必ず整備工場でプロに見てもらうこと。お客さま自身が行う日常点検を習慣にすること。これらをきちんと実施することで、事故につながりかねない不具合箇所を発見したり、故障を未然に防いだりでき、安全性を確認できます。点検・整備はプロとしての技術や知識を生かして、安全性を確認する予防整備であり、お客さまの命に直結する大変重要なものですね。」
車検と定期点検整備の違いが理解できていない人や、車検さえ通っていればOK、という人もいます。それは私たち整備士の責任でもある、とお二人はおっしゃいます。

点検・整備はお客さまの命に直結する

「でも、整備士は話しにくいという印象があるようなので、お客さまにとって足を運びやすい整備工場にしたいですね。どんな小さなことでも気軽に来ていただければ、お客さまのクルマの健康状態を把握しやすくなる、不具合のヒントが会話の中から見つけやすくなる、すぐに整備に反映しやすくなる――それこそ予防整備といえるのではないでしょうか。これからも努力していきたいと思っています。」お二人は最後にそう締めくくってくださいました。

今回で、花岡さん、有我さんにお聞きしてきました点検・整備についての話はおしまいです。整備士の方が友達みたいに思えてきましたか?あなたも、お近くの整備工場に行ってみませんか?

※全日本自動車整備技能競技大会
(社)日本自動車整備振興会連合会が主催し、各都道府県の自動車整備振興会の行う整備技能競技大会入賞者等(ディーラー等所属の整備士は除く)が出場する。
第一線で活躍している自動車整備士の技能評価と整備士相互の連帯交流を強めるとともに、整備業界の発展と自動車の安全確保及び環境保全に寄与することを目的として2年に1回実施されている競技大会。