第2回 整備士が語る、点検の極意

前回では、国家1級自動車整備士の花岡さんと有我さんに、整備士を目指したきっかけや整備士としてのやりがいなどを話していただきました。
整備士の資格を取得されてから10数年のお二人。今回は、その数多くの経験の中から、愛車を長持ちさせる方法やドライバーにできる日常点検のポイントについて教えていただきました。

●長持ちの秘訣は「やさしさ」

長持ちの秘訣は「やさしさ」

クルマは、いつまでも大切に乗り続けたいものです。それでも時間の経過とともに部品は摩耗したり劣化したりしますし、故障も起きてしまいます。
では、劣化させにくい運転の仕方はあるのでしょうか。
有我さんに伺ってみました。
「いちばん効果的な乗り方は、エコドライブと同じようにやさしく運転すること。ゆったりとした発進や停止、ドライブ中もできるだけ速度変化の少ない安定した運転をすれば、クルマにも余分な負担がかからないので長持ちしますね」と話されます。しかもガソリンをムダ使いしないので環境にもやさしいといえます。
勘違いしている人が多いのは暖機運転。「エンジンが長持ちするといわれていましたが、現在のガソリン乗用車ではあまり必要ありません。寒冷地の北見でもほとんど必要ないくらいです」とおっしゃるのは花岡さん。
エコドライブ10項目のひとつにも挙げられているので、エンジンをかけたらすぐ出発しましょう。アイドリングストップの観点からも、燃費の点からも習慣にしたいものです。

●日頃から愛車の状態を知っておきましょう

日頃から愛車の状態を知っておきましょう

クルマの定期的な点検は、いわば私たちの健康診断。クルマの健康を守り、安全なドライブのために行うものです。定期点検整備のほかに、普段から自分でも日常点検するように努めましょう。
「日常点検は何回か続けて行えばすぐに身につきますよ。それに、走りはじめてからもクルマの状態をにおい、音など五感を使ってチェックするといいですね。まずは、快調なときの状態をしっかり記憶しておくことです。そうしておけば、エンジン音やブレーキの踏みごたえ、警告灯などが普段と少しでも違えば『なんか変だな』ということは初心者でもすぐに分かりますよ」と花岡さんは話してくださいました。
それは、たとえば私たちが普段の生活のなかで「今のあの音、なに?」「何かにおわない?」というように、経験したことのない音やにおいに反応するのと同様だといえます。
五感によるチェックは、「1級整備士の我々もよく実行します」とおっしゃいます。「見た目では異常がないように見えても、少し走らせて異音、異臭がないかをチェックすることがあります。たとえばブレーキを踏むたびにキーキー音がしたらブレーキパッドが摩耗している恐れがありますし、ものが焼けるようなにおいはエンジン・オイルや冷却水に問題があるかもしれません。五感によるチェックはそれほど重要です」お二人は声をそろえて話されます。
(日常点検の方法をご存じでない方は、日本自動車整備振興会連合会のホームページでご確認ください。)

●症状は具体的に伝えてください

症状は具体的に伝えてください

ときどき何か音がする、走り出してしばらくすると変なにおいがするといった感覚的な不具合やたまにしか起きない症状について修理を頼まれることもあるそうです。
「その場で判断できないご依頼もあります。そんな場合は原因を突き止めるのが難しいですね」というのは有我さん。「走るとパタパタと変な音がする」というのでチェックしたら、トランクから梱包用の紐が少し外にはみ出ていた、なんてこともあったそうです。
「原因がわからず大変だったというより、整備の難しさを知りました。できるだけ具体的に症状を伝えていただけると不具合箇所の発見も早くなり、確実に修理できますね。とにかく、音やにおいがおかしいと感じたら、危険の前兆ということもありますから、すぐに整備工場に来て相談してください。私たちが丁寧に点検・整備しますよ」
ドライバーの方の安全とクルマへのやさしさにあふれた整備士の方のひと言でした。

今回の話で、整備士の方はお客さまの不安を親身に聞き、丁寧に整備に向き合っていることがよく分かりました。
次回は、私たちとの接客のポイントについて心をこめて話していただく予定です。お楽しみに。

※全日本自動車整備技能競技大会
(社)日本自動車整備振興会連合会が主催し、各都道府県の自動車整備振興会の行う整備技能競技大会入賞者等(ディーラー等所属の整備士は除く)が出場する。
第一線で活躍している自動車整備士の技能評価と整備士相互の連帯交流を強めるとともに、整備業界の発展と自動車の安全確保及び環境保全に寄与することを目的として2年に1回実施されている競技大会。